このレッスンでは、自部門の業務の中から、動画にする候補を1件選びます。
動画には向く型が3つあります。手順の説明・研修・社内告知です。 どの型に当てはまるかを先に決めます。型が決まらないまま作り始めると、後のレッスンで尺や台本の設計がぶれるためです。
候補を3つ挙げ、3つの条件で判定し、最も向いている1件に絞ります。
動画に向く3つの型を知る
まず、業務を3つの型に当てはめて考えます。
| 型 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 手順の説明 | 操作や作業の順序を見せる | 経費精算システムの入力手順 |
| 研修 | 知識や考え方を体系的に伝える | 新入社員向けの情報セキュリティ研修 |
| 社内告知 | 変更や決定事項を周知する | 勤怠システムの切り替え案内 |
3つの型はどれも「同じ内容を、複数人に、繰り返し伝える」場面で使われます。 一対一の相談ごとや、その場限りの調整は、この3つのどれにも当てはまりません。
型ごとに、後のレッスンで決める内容が変わります。手順の説明は、順序を追う台本になります。研修は、複数の論点を積み上げる台本になります。社内告知は、要点を短く絞った台本になります。 型を先に決めておくと、次のレッスンで迷いません。
Google Vidsの紹介ページでも、想定される使い方として「オンボーディングとトレーニング」「顧客やチームの教育」が挙げられています。企業が動画に置き換えやすい業務は、この3類型に集まる傾向があります。

自分の業務が、この3つのどれかに当てはまるかを確認してください。当てはまらない場合は、今回の対象からは外れます。複数の型にまたがる業務は、最も比重の大きい型で扱ってください。
たとえば「新システムの操作を新入社員に教える」は、手順の説明にも研修にも見えます。迷ったときは、目的を基準にしてください。 操作を覚えることが目的なら手順の説明、業務全体の考え方を身につけることが目的なら研修です。目的の決め方は次のレッスンで扱います。
動画が効く3つの条件
型に当てはまっても、動画にする価値があるとは限りません。判断の基準は3つです。
| 条件 | 意味 |
|---|---|
| 繰り返し発生する | 同じ説明を、人が毎回口頭で行っている |
| 言葉だけで伝わりにくい | 画面の動きや実演が要る内容である |
| 対象人数が多い | 一人ずつ説明すると、合計の時間が大きくなる |
なぜこの3つかというと、動画は「最初に時間をかけて、後で繰り返し使う」仕組みだからです。 一度作れば、説明する人の時間を使わずに何度でも再生できます。逆に、1回しか使わない説明を動画にすると、制作にかけた時間のほうが直接説明する時間を上回ります。
たとえば、月10人が入社し、毎回30分の同じ説明をしているなら、年間で60時間が同じ説明に費やされています。この時間が、動画1本の制作時間と釣り合うかを考えてください。 3つとも当てはまるなら、まず間違いなく釣り合います。2つなら条件付きで効きます。1つ以下なら、いまは見送ってください。
自分の候補に、この3条件を当ててみてください。
3条件は、社内告知にもそのまま使えます。「今回だけの告知」なら、メールや朝礼で済みます。 「制度変更のように、これから何度も新入社員へ説明する内容」であれば、動画にする価値が出てきます。
動画にしない方がよい業務
逆に、動画にすると手間ばかりかかる業務もあります。共通する形は3つです。
| 特徴 | 理由 |
|---|---|
| 1回限りの説明 | 制作時間が、直接説明する時間を上回る |
| 対象が1人 | 個別に直接説明する方が早く済む |
| 内容が頻繁に変わる | 更新のたびに撮り直しが必要になり、すぐ古くなる |
この3つのどれかに当てはまる候補は、今回は外してください。 動画は「作って終わり」ではなく、公開後も内容が古くならないか気にかけ続ける必要があります。頻繁に変わる内容を動画にすると、その負担が重くなります。
ただし、変わる部分と変わらない部分を分けられる場合は例外です。たとえば「申請の考え方」は変わらず「承認者の名前」だけが変わるなら、考え方の部分だけを動画にし、名前は別の一覧で管理する形が使えます。運用移管の詳しい考え方は、このモジュールの最後で扱います。
1回限りの説明を動画にしてしまう失敗は、実際によく起きます。「せっかくだから記録に残そう」という発想が原因です。 記録すること自体は悪くありませんが、動画には企画・撮影・編集という工程がかかります。口頭で1回説明するだけなら、その工程はかけずに済みます。