このレッスンでは、動画を作り始める前に、目的と台本を決めます。
先に画像や音声から作り始めると、あとで作り直しになります。 何を伝えたいかが固まらないまま素材を集めると、途中で方向が変わったときにそれまでの素材が使えなくなるからです。目的と台本を先に決めておけば、後の工程は決まった内容に沿って素材を集めるだけの作業になります。
誰に何秒で伝えるかを先に決める
動画を作る前に、3つを言葉にします。 誰に、何を、何秒で伝えるかです。
| 項目 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 誰に | 見る人は誰か | 新入社員、全社員、取引先 |
| 何を | 一番伝えたいことは何か | 経費精算の新しい申請手順 |
| 何秒で | 見てもらえる長さはどれくらいか | 60秒 |
この3つが決まらないまま作ると、伝える内容が増えすぎます。 「あれも伝えたい」を全部入れると、見る側は何も覚えられません。1本の動画で伝えることは、基本的に1つにしぼってください。
長さの目安は、社内向けのお知らせなら30〜60秒、手順の説明なら90秒程度です。長くなるほど、最後まで見てもらえる割合は下がります。

台本は「つかみ・本編・締め」の3つで組み立てる
短い動画の台本は、3つのブロックで組み立てます。 つかみ、本編、締めです。
| ブロック | 役割 | 目安の長さ |
|---|---|---|
| つかみ | 最初の数秒で「自分に関係がある」と伝える | 3〜5秒 |
| 本編 | 伝えたい内容を1つ、具体的に見せる | 全体の7割 |
| 締め | 見た人に次に何をしてほしいかを示す | 5〜10秒 |
つかみを飛ばして本編から始めると、最初の数秒で離脱されます。 社内向けの動画でも同じです。「これは自分の仕事に関係がある」と分かるまでは、最後まで見てもらえません。
締めも同じくらい重要です。「見て終わり」ではなく、次の行動につなげてください。 例えば「今日から新しいフォーマットを使ってください」のように、見た人が次にすることを一言で示します。

つかみは、疑問文か数字で作る
「はじめまして」から始めると、最初の数秒で興味を引けません。 見る人はすでに忙しく、自分に関係があると分かるまで、数秒しか待ってくれません。
つかみに使える型は、大きく2つです。
| 型 | 例 |
|---|---|
| 疑問文で始める | 経費精算、まだ紙でやっていませんか |
| 数字で始める | 入力項目は、たった3つです |
どちらの型も、見る人自身の状況を指しています。 一般論から入るより、「自分に関係がある話だ」と感じてもらえます。台本を書くときは、つかみの1文をこのどちらかの型で作ってみてください。
型に当てはめても言葉が浮かばない場合は、対象者が普段口にしている愚痴や、よく聞かれる質問をそのまま使うと作りやすくなります。
台本は文章ではなく、シーンの表で作る
台本を長い文章のまま持っておくと、後の工程で迷います。 画像を作るとき、音声を録るとき、編集するとき、そのたびに文章から必要な部分を探すことになるからです。
台本は、シーン単位の表に分解してください。 1シーンにつき1行、次の3列で足ります。
| シーン | 映像に映すもの | 話す内容 | 尺の目安 |
|---|---|---|---|
| 1(つかみ) | 困っている社員のイラスト | 経費精算、まだ紙でやっていませんか | 4秒 |
| 2(本編) | 新しい申請画面のスクリーンショット | 新しいフォーマットなら、入力は3項目だけです | 15秒 |
| 3(締め) | 完了画面とロゴ | 今日から、このフォーマットで申請してください |
台本の下書きは、文章生成AIに手伝わせる
ゼロから台本の文章を書くのは、思いのほか時間がかかります。 話し言葉と書き言葉が混ざったり、長さの感覚がつかめなかったりするからです。
文章生成AIに「誰に・何を・何秒で」を渡すと、台本の下書きを作れます。本モジュールでは、CanvaのMagic Writeという機能を使います。 伝えたい内容と長さを指示文として入力すると、話し言葉に近い文章の下書きが返ってきます。
指示文は、最初の見出しで決めた3項目をそのまま並べるだけで足ります。
対象: 新入社員
伝えたいこと: 経費精算の新しい申請手順
長さ: 60秒
このように箇条書きで渡すと、つかみ・本編・締めを含んだ下書きが1本の文章で返ってきます。返ってきた文章を、そのまま前の見出しのシーン表に当てはめていきます。
下書きをそのまま使わないでください。AIが作る文章は、実際の話し言葉より硬くなりがちです。 声に出して読み、詰まる箇所を自分の言葉に直してから、シーン表の「話す内容」欄に落とし込みます。