このレッスンでは、Supabase(スーパベース)というサービスが何を貸してくれるのかをつかみます。あわせて、もとになるPostgres(ポストグレス)が何か、同じ種類のサービスであるFirebaseと何が違うかを扱います。
なぜ最初に「何をする会社か」を学ぶか。コーディングエージェントに社内ツールを作らせると、画面はすぐにできます。ところが「入力した内容をどこに保存するか」で止まります。この置き場の候補としてSupabaseの名前が出たとき、何者かを知らないまま採用も却下もできないからです。
Supabase はデータの置き場をまとめて貸すサービスだ
Supabaseは、アプリの裏側に要るものをひとまとめにして貸すクラウドサービスです。 公式ドキュメントは自らを「完全なバックエンドプラットフォーム」と呼び、プロジェクトごとにPostgresデータベースを1つ丸ごと用意すると書いています。
詳しくはSupabase Docs「Supabase Docs」(新しいタブで開きます)をご確認ください。
例えるなら、オフィスを借りるときに、机と電話と鍵付きの書庫と受付が最初から付いてくる貸しオフィスです。自分で買って据え付けるのは、自分の仕事道具だけで済みます。
| 社内ツールの部品 | 誰が用意するか | 具体的には |
|---|---|---|
| 画面 | 自分(コーディングエージェントに作らせる) | 入力フォーム、一覧、ボタン |
| データの置き場 | Supabase | 入力した内容を保存し、取り出す |
| ログイン | Supabase | 社員だけが入れる仕組み |
| ファイルの置き場 | Supabase | 添付した PDF や写真 |
画面は自分で作り、その裏側は借りる。 この分担が、Supabaseを使うときの基本の形です。
自部門で作りたい社内ツールについて、「画面」と「裏側」に何があるかを、いま思い浮かべてみましょう。
肩代わりする役割は4つある
Supabaseの役割は、Database・Auth・Storage・Edge Functionsの4つに分けて覚えます。 ほかにも機能はありますが、社内ツールの判断にはこの4つで足ります。
| 役割 | 読み方 | 肩代わりする作業 | 自分でやると何が要るか |
|---|---|---|---|
| Database | データベース | 表の形でデータを保存し、取り出す | サーバーの用意、更新、障害対応 |
| Auth | オース | 本人確認とログイン | パスワードの安全な保管、ログイン画面 |
| Storage | ストレージ | ファイルを保存し、配る | 容量の管理、閲覧権限の仕組み |
土台は Postgres という表形式のデータベースだ
Supabaseの中心にあるのはPostgresという、表の形でデータを持つデータベースです。 公式ドキュメントは「Postgresの抽象化ではなく、完全なPostgresデータベースを提供する」と書いています。
詳しくはSupabase Docs「Database」(新しいタブで開きます)をご確認ください。
PostgresはSupabaseが作ったものではありません。長年、無償で公開され、多くの企業や行政のシステムで使われてきたデータベースそのものです。Supabaseは、それを設置済みの状態で貸し、上にAuthやStorageを載せています。
| この事実から言えること | 社内ツールでの意味 |
|---|---|
| 表の形でデータを持つ | Excel の1シートのように、行と列で考えられる |
| 世界中で使われている | コーディングエージェントが扱い方をよく知っている |
| Supabase の独自形式ではない | Supabase をやめても、データを別の Postgres へ移せる |
「本物のPostgresをそのまま貸している」という点が、判断の材料になります。 サービス独自の形式だと、やめるときにデータの移し替えで困ります。
次のレッスンで、表・行・列の考え方を自部門のデータで練習します。ここでは「Excelのシートに近いもの」と押さえておきましょう。
Firebase との違いは「表で持つか、書類の束で持つか」だ
同じ種類のサービスにGoogleのFirebaseがあり、違いを一言で言うと、データを表で持つか、書類の束で持つかです。 Supabase自身が公開している比較ページも、いちばん上にこの違いを置いています。
詳しくはSupabase「Supabase vs Firebase」(新しいタブで開きます)をご確認ください。
FirebaseのFirestoreは、1件ごとに項目の違う「書類」をまとめて持ちます。項目を決めずに始められる反面、表どうしのつながりを扱う処理は画面側で書くことになります。SupabaseのPostgresは、最初に列を決めて表を作り、表どうしを番号で結びます。
| 比べる点 | Firebase(Firestore) | Supabase(Postgres) |
|---|---|---|
| データの形 | 書類の束。1件ごとに項目が違ってよい | 表。列を決めてから行を入れる |
| 表どうしのつながり | 画面側で処理する | データベースの中で結ぶ |
| 自分で運用する選択肢 | 無い |
やってはいけないことを先に決める
試しに使う段階でも、Supabaseに入れたデータはクラウド上の他社サーバーに置かれます。 何を入れてよいかは、使い始める前に決めます。
| やってはいけないこと | 代わりにすること |
|---|---|
| 顧客の個人情報・未公開の数値を、試用の段階で入れる | 架空の名前と数値で動きを確かめる |
| 「Supabase が全部やってくれる」と社内に説明する | 「保存とログインの仕組みを借り、誰に何を見せるかは自分で決める」と説明する |
| 社内規程を見ずに社外のクラウドへ置く | 情報の区分ごとに、社外へ置いてよいかを規程で確かめる |
Supabaseが用意するのは仕組みで、守る範囲を決めるのは使う側です。 ここを間違えると、レッスン2で扱う「誰がどの行を見てよいか」の設定が抜けたまま公開されます。
社内規程の「情報の区分」の表を、この時点で手元に出しておきましょう。

