このレッスンでは、コースの成果物と全体の流れを確認します。何を作るのかが分かっていると、各章の作業で手が止まりません。
このコースの成果物は知識ではありません。社内へ配布できるガイドライン文書そのものです。だからこそ、最初に完成物の形を見ておく価値があります。
成果物はガイドライン文書そのものである
このコースを終えたとき、手元には配布できる文書があります。
各章で雛形の1節ずつを埋めていくので、最後にまとめて書く作業はありません。章を進めることが、そのまま文書が埋まることです。
雛形は次の7節でできています。
| 節 | 決めること | 章 |
|---|---|---|
| 1. 適用範囲 | 誰の、どの利用に適用されるか | 第2章 |
| 2. 用語 | 何を「生成AI」と呼ぶか | 第2章 |
| 3. 入力してよい情報 | 情報区分ごとの可否 | 第3章 |
| 4. 出力の取り扱い | 検証の責任と、そのまま使ってよい範囲 | 第4章 |
| 5. ツールの承認 | 新しいツールを使いたいときの手順 | 第5章 |
| 6. 責任分界とインシデント対応 | 誰が責任を持ち、問題時に何をするか | 第6章 |
| 7. 運用 | 周知・窓口・見直し | 第7章 |
つまり、7つの章が7つの節に対応します。
この対応が分かっていると、各章で行うことが「勉強のための課題」ではなく「文書の1節を書く作業」として進められます。
一般論からではなく自社の実態から始める
このコースは、自社で何が起きているかを調べるところから始まります。
ガイドラインは、学んでから書こうとすると書けないからです。自社の情報区分、既存の規程、現場での使われ方を知らないまま一般論を読んでも、自社の文書には落ちません。
たとえば「機密情報を入力してはいけない」という原則を学んだとします。しかし自社の情報区分が3段階なのか5段階なのか、どの区分が「機密」に当たるのかを知らなければ、文書には書けません。
だから順序をこうしています。
1. 自社でいま何が起きているかを調べる ← 第1章
2. 実態に対して、決めるべきことを決める ← 第2〜6章
3. 決めた内容を雛形に書く ← 各章の作業
この順序で進めると、書けない箇所が「まだ調べていないこと」として明確になります。一般論を読んで分かった気になる状態を避けられます。
すでに使われている前提で設計している
このコースは、社内ですでに生成AIが使われている前提で書かれています。
ガイドラインを作ろうと考え始めた時点で、現場は個人アカウントで使い始めているのが実態だからです。「これから導入する」前提の資料は多いのですが、その前提はたいてい成り立ちません。
実態を無視してルールだけ作ると、次のようになります。
| やったこと | 起きること |
|---|---|
| 原則禁止とだけ書いて配布 | 使っている人が黙るだけで、利用は止まらない |
| 承認済みツールを1つだけ指定 | 指定外のツールが申請されずに使われ続ける |
だから第1章は、ルールを決める前の実態調査から始まります。
この前提を共有しておくと、第1章で「思ったより使われていた」と分かっても、想定内として受け止められます。
1人では完結しないことを先に知っておく
このコースの作業は、社内の関係者への確認を含みます。
適用範囲は人事、契約への反映は法務、ツールの管理は情報システム部門に関わるからです。1人で書き切れる文書ではありません。
具体的には、次の場面で確認が要ります。
- 業務委託先にガイドラインを及ぼす場合 → 法務・調達
- 違反を懲戒事由と結びつける場合 → 人事
- 承認済みツールの一覧を管理する場合 → 情報システム
早めに巻き込んでください。 文書を書き上げてから相談すると、前提から覆ることがあります。