このレッスンでは、自部門の業務を書き出して、自動化に向くものと向かないものに仕分けます。
ツールの話はまだ出てきません。 先に対象を決めます。対象が決まっていない状態で機能を眺めても、自分の仕事には接続されないからです。
この回で決めるのは6件です。 向く作業を3件、向かない作業を3件。理由を添えて挙げられれば完了です。
まず1週間ぶんを書き出す
思い出しながら選ばず、1週間ぶんを全部書き出してください。
記憶で選ぶと、印象に残っている業務だけが挙がります。実際に時間を食っているのは、印象に残らない細かい繰り返しの方です。
書き出す粒度は「30分以上かかったもの」を目安にします。次の3列で足ります。
| 作業 | 頻度 | 1回あたりの時間 |
|---|---|---|
| 請求書PDFから金額を転記する | 週1 | 60分 |
| 問い合わせメールに定型で返す | 毎日 | 30分 |
| 部門の週次報告をまとめる | 週1 | 90分 |
いま手元にカレンダーとメールがあれば、20分で書けます。完璧を目指さないでください。 抜けは後の章で足せます。
自動化が効くのは、3つの条件が揃う作業
書き出せたら仕分けます。判断の基準は3つです。
| 条件 | 意味 |
|---|---|
| 手順が固定 | 毎回同じ順番で進む。例外が入らない |
| 入力の形が揃う | 同じ様式のファイル、同じ項目のメール |
| 判断が要らない | 迷う場面がない。誰がやっても同じ結果になる |
3つとも当てはまるなら、まず間違いなく効果が出ます。2つなら条件付きで効果が出ます。1つ以下なら、いまは見送ってください。
なぜこの3つかというと、自動化とは「手順を書いて渡すこと」だからです。 手順が書けないものは渡せません。ツールが賢くなっても、この性質は変わりません。
自分の一覧に、この3列を足して○×を付けてみてください。
向く作業は5つに分かれる
○が付いた作業は、探す・移す・数える・作る・調べるの5つに分かれます。
分類を持っていると、目の前の作業が「これは移すだけだ」と見えるようになります。分類が無いと、毎回ゼロから「頼めるだろうか」を考えることになります。
| 分類 | やっていること | 例 |
|---|---|---|
| 探す | 大量の中から該当を見つける | 過去の契約書から自動更新の条項があるもの |
| 移す | ある形式から別の形式へ写す | 請求書PDF → 経費一覧の行 |
| 数える | 数字を集めて集計する | 12ヶ月ぶんのCSVから費目別の合計 |
| 作る | 型に沿って文書を生成する | 定型の月次報告書 |
向かない作業には、共通する形がある
×が付いた作業も、理由を言えるようにしておきます。線引きができていないと、後で判断が要る業務まで任せてしまいます。
向かないものは、だいたい次の3つのどれかです。
| 形 | なぜ向かないか | 例 |
|---|---|---|
| 判断そのもの | 正解が状況で変わる。手順に落ちない | この取引を続けるか決める |
| 交渉・調整 | 相手の反応で進み方が変わる | 納期の折衝、社内の合意形成 |
| 例外処理が本体 | 例外が多すぎて、手順が固定にならない | 特殊な条件の見積もり |
ただし、判断の材料を揃えるところまでは任せられます。 「3社の見積を比較表にする」までがツール、「どこに頼むか決める」が自分、という切り分けになります。
ここを混同したまま進めると、根拠のない結論が出てきて手戻りになります。