このレッスンでは、作りたいものの中身を言葉にして、「要件メモ」という1枚にまとめます。
依頼の内容を言葉にしないまま進めると、出来上がりは依頼者の意図からずれます。 先に言葉にしておけば、このずれを防げます。
目的・使う人・いまの困りごと・完成の基準の4点を埋めます。
曖昧な依頼は、出来上がりを運任せにする
依頼の内容を言葉にしないまま進めると、出来上がりは依頼者の意図からずれます。
なぜそうなるかというと、依頼を受けた側は、書かれていない部分を自分の判断で埋めるからです。判断の基準は依頼者の頭の中にしかありません。受け手がAIであっても、この構造は変わりません。
例えば「問い合わせの記録を管理するツールを作ってほしい」という依頼だけを渡すと、受け手は入力項目や保存形式を好きに決めます。結果は依頼者の想定と違う姿になりがちです。
| 依頼の書き方 | 受け手が埋める内容 | 出来上がり |
|---|---|---|
| 問い合わせの記録を管理するツールを作ってほしい | 入力項目・担当者の範囲・保存形式 | 依頼者の想定と違う姿になりやすい |
| 営業部の問い合わせを、担当者名・対応状況・受付日で一覧にしたい | すでに決まっている | 意図どおりの姿に近づく |

言葉にした分だけ、受け手が埋める余地が減ります。 余地が減れば、ずれも減ります。
自分がいま頼みたいものについて、まだ言葉にしていない部分がどこにあるか考えてみてください。
要件メモに書く4点を決める
要件メモには、目的・使う人・いまの困りごと・完成の基準の4点を書きます。
この4点が揃えば、受け手は判断に迷う場面が少なくなります。反対に1点でも抜けると、その部分は受け手の判断に任されます。
| 項目 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 目的 | このツールで何を変えたいか | 備品の貸出記録を紙の台帳からなくしたい |
| 使う人 | 誰が、どの場面で使うか | 総務部の担当者2名が、貸出・返却のたびに入力する |
| いまの困りごと | 現状、何に時間がかかっているか | 台帳を探す・書く・集計するのに毎週1時間かかる |
| 完成の基準 | 何がどうなれば完成と言えるか | 貸出中の備品が一覧で見られる |

完成の基準は「見て分かる状態」で書く
完成の基準は、誰が見ても同じ判定になる形で書きます。
「使いやすくしたい」のような基準は、人によって判定が割れます。見て分かる基準なら、依頼者と受け手のどちらが見ても同じ結論になります。
| 避ける書き方 | 見て分かる書き方 |
|---|---|
| 使いやすいツールにしたい | 名前と日付を入力すれば、一覧に追加される |
| ちゃんと集計できるようにしたい | 一覧画面で、月ごとの件数が自動で表示される |
| 見栄えを整えたい | 文字が読める大きさで、スマートフォンの画面でも一覧が表示される |
基準を見て分かる形にすると、完成したかどうかを自分だけで判定できます。 受け手に確認を頼む必要がなくなります。
自分が書いた完成の基準を、この表の右側のような形に書き直してみてください。
本モジュールでは Claude Codeを使う
ここまでの考え方を、実際の仕組みに当てはめます。本モジュールでは、Claude Codeを使います。
Claude Codeは、コードを読み書きし、コマンドを実行できるエージェント型のツールです。要件を自分だけで言葉にしきれない場合、Claude Code側から質問を返してもらい、答えながら整理する使い方があります。
| 概念 | Claude Codeでの実装例 |
|---|---|
| 要件メモを自分で書く | 今回扱う方法 |
| 要件メモをClaude Codeに聞かれながら書く | 目的や使う人を質問されたら、この4点の言葉で答える |
ツールが変わっても、4点の中身は残ります。 聞き取りの形式が変わるだけで、答えるべき内容は同じです。
次のレッスンでは、この要件メモを「画面」と「データ」の2つの形に分けます。